編集:岩田忠利 / 編集支援・タイトルロゴ:阿部匡宏
NO.792 2015.12.02 掲載 
◆マップなど画像は、クリックし拡大してごらんください。
故郷
NO.1
 山形県南陽市の巻

文:加藤 清(横浜市港北区新吉田町 建設業「左官職」
  
        ★昭和60年9月28日発行『とうよこ沿線』第30号から転載


     自然の恵みと人情豊かな南陽市



宮町通り熊野神社前

 私の故郷は、山形県は南陽市、地図で見ると人の顔のような形をしています。米沢市と上ノ山市のほぼ中間に位置し、国道13号線と新潟県まで続く国道113号線がその動脈です。

 宮内″は南陽市の北西部。私はここに生まれ、この地の高校を出て20代の大半を過ごしました。豊かな自然の恵みと人情味あふれる人との触れあい、この思い出の数々は私の人生そのもののような気がします。


  10年連続のお参りで記念品、
       宮内熊野神社

  

  宮内には日本三大熊野神社の一つ、上の写真の宮内熊野大社があります。夏祭は毎年725日。この時、御神輿あげがあり、酒を飲み勢いをつけた担ぎ手が道路いっぱいに駆け回り、それは勇壮なお祭です。

正月過ぎには太太神楽(だいだいかぐら)が始まり、県内外からの参拝客でごった返します。連続10年間参拝した人には、記念品が出るというのも、ユニークなところ。
 秋11月、菊のシーズンには菊人形目当ての観光客でにぎわい、菊の女王コンテストが開かれます。また市内ではカーニバルが盛大に行なわれ、リオのカーニバルほどではありませんが、沿道は市民のすべてで埋めつくされます。



夏祭り


秋の菊人形



   美味しい作物の宝庫

  私の故郷は、おいしい産物が豊富であることも自慢したい。
 
6月になれば、山形の、あの有名なサクランボ。そのすぐあとには、桃、梨、ぶどうが採れ、秋には柿、リンゴその種類といったら数えきれないほど。米はコシヒカリなど代表的なものです。

 宮内から西へ約3キロ、梨郷(りんごう)の平野(ひらの)という一風変わった地名があります。ここのスイカの爽やかな甘さは、恐らく日本一、いや世界一でしょう。都会に出た私は日本各地のスイカを食べましたが、平野のスイカにはかないません。



サクランボ


美味しさ“世界一”、平野のスイカ









イラストマップ:石野英夫(元住吉)

南陽市観光ガイド・テレホンサービス 0238-40-2122

 赤湯の白竜湖と大雪の思い出

  温泉で名高い赤湯には、その昔、竜が棲んでいたという伝説がある白竜湖という湖があります。ここは日曜日ともなると、いつも太公望で賑わいます。ここの獲物はへラブナが多く、たまには竜ならぬ、でっかい雷魚が釣れることも。
 私も小学生の頃から釣りが好きで、白竜湖によく釣りに行ったものです。暗くなってから家に帰ると、
 「こげぬ遅くまでえっと、竜ぬかっちぇすまうぞ!」
  母は私をえらい剣幕で叱ったものです。


十一分山から白竜湖を望む。右が国道13号線

 
部屋の高窓の脇を通る人の姿が見える――それほど、冬に雪が降ったこともあります。それでも私たち子供は、外で雪合戦したりカマクラを造ったり、嬉々として遊んだものです。

 私の故郷・南陽市は、ほかの土地にくらべ観光地は少ない、高速道路はない、新幹線もない。ただあるのは、南陽の人たちの心の温かさ。そしてここには、中学2年の時の、胸がキュンとなる淡い初恋の思い出があるのです。


 筆者・加藤 清

 建築業「左官職」、33歳。横浜市港北区新吉田町在住。
 
山形県南陽市宮内出身



「とうよこ沿線」TOPに戻る 次ページへ
「目次」に戻る