はじめに・・・
大雪山とアイヌ語
大雪山は花の山、アイヌの言葉でカムイミンタラ、「神々が遊ぶ庭」です。大きく裾野を延ばした山肌に、高山植物が百花繚乱に咲き乱れる様は、まさに天上の楽園に相応しい光景だと思います。
ただ、カムイは単純に「神」と訳されることが多い一方、意味を説く場合はそのシチュエーションも非常に大事で、例えば湯の滝が流れるカムイワッカは「神の水」ではなく、温泉が流入する飲めない水「魔の水」と解釈します。他にも、
コタン・コロ・カムイ=村・持つ・神=シマフクロウ
ヌプリ・コロ・カムイ= 山・持つ・神=熊
キムン・カムイ= 山の・神 =熊
カムイ・コタン= 神の・村ではなく、魔物が棲む集落=難所 という意味で使われます。
冒頭のカムイ・ミンタラのミンタラは「庭」と訳しておりますが、アイヌ語研究家の知里真志保による地名辞典には「山野においてシカ・クマなど発情期のものが踏み荒らして地面くぼみ、草などが倒れ伏しているような場所」とあります。よってカムイミンタラを安易に「神々が遊ぶ庭」と説くよりは、「クマの掘り返しや痕跡がある場所」と考える方が妥当だと言えます。
いずれにせよ、神々やクマが棲んでいるような超常的で原始性の高い自然が広大に展開するエリアであることに違いありません。そして、その名に恥じないくらいの高山植物が溢れんばかりに咲いている場所でもあります。
私の山行はニッコウキスゲの群落を見てから
私が登山にのめり込んだのは、花に魅せられたことが大きかったと思います。ハイキングのつもりで登ったとある山でエゾカンゾウ(=ニッコウキスゲ)の群落を見たのがきっかけでした。
それから高山植物図鑑を片手に色々な山を登りました。見たこともない花に出合い、その場で図鑑を開いて同定し、名前を覚えていくことが楽しくてしようがありませんでした。それから、山全般に関心を持ち始め、沢登りや山スキーにも興味が湧き、手広く行動していました。
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大雪山のチングルマ
バックは旭岳(7/27撮影)

コマクサ(駒草)
大雪山と日高山脈の一部にのみ分布(7/27撮影) |
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